
水泳の水分補給|水とスポーツドリンクの使い分け
練習には水を持っていけばいいのか、スポーツドリンクを用意したほうがいいのか。プールへ向かう途中で迷うことがあります。
軽めの練習で、水を選べる場面はあります。長く強度の高い練習では、水分に加えて糖質や電解質の補給も考えます。ただし、プールにいる時間だけで必要な飲み物が決まるわけではありません。休憩の多い練習と、泳ぎ続けるメニューでは条件が違います。
水の中でも補給を忘れないよう、飲み物の中身と、実際に飲める休憩の両方を考えておきましょう。
水とスポーツドリンクの違いは糖質と電解質
スポーツドリンクは、水分とエネルギーを同時に補給できるよう作られた飲料です。糖質に加え、ナトリウムなどの電解質を含みます。AISの解説でも、毎回の練習に必須の飲み物ではなく、運動の内容や食事を含めた補給計画の中で使うものとされています。AISのスポーツドリンク解説
| 用意する飲み物 | 含まれるもの・役割 | 選ぶときに確かめること |
|---|---|---|
| 水 | 水分の補給 | 食事や練習内容を踏まえて、糖質・電解質も必要か |
| スポーツドリンク | 水分、糖質、ナトリウムなど | 栄養成分表示、飲みやすさ、運動中の胃の感じ |
| 糖質の少ない電解質飲料 | 水分と電解質。組成は製品による | 糖質の補給も必要なら、別に食事や補食を考える |
「スポーツ用」「すっきりした甘さ」といった名前や印象だけでは、含まれる量は分かりません。ラベルを見るときは、炭水化物や食塩相当量の数値と、表示の単位をセットで確かめます。100mL当たりと1本当たりを混ぜて比較しないようにします。
粉末やタブレットを使うなら、まず製品が指定する水の量で作ります。甘さが気になって水を足すと、糖質だけでなく電解質の濃度も下がります。「薄めればどんな練習にも合う」とせず、飲みやすい製品を選ぶか、食事・補食との組み合わせを見直すほうが中身を把握しやすくなります。
飲み物は練習時間と暑さ、食事に合わせる
練習時間は、補給を考える材料の一つです。ほかにも、泳ぐ強度、暑さ、汗のかき方、練習前の食事、次に食べられる時刻が関係します。NATAの水分補給指針も、体格や環境、運動時間・強度などを含めた個別の計画を勧めています。NATAの指針
たとえば、食事を取った後の軽いフォーム練習なら、水を用意して補給できる休憩を確保する方法が考えられます。一方、仕事帰りに強度の高いメニューを長く行う日は、最後の食事から時間が空いていることもあります。そうした日は、飲み物だけでなく練習前後の食事や補食まで予定に入れると、糖質をどう補うかも考えられます。
暑い日は、糖質を多く取ればよいという話ではありません。水分・電解質の補給と、練習を続けてよい環境かどうかを別々に確認します。
スポーツ庁は、プールでも熱中症が発生すること、水中では口が濡れて渇きに気づきにくく補給を忘れがちなことを説明しています。水に入っている安心感だけで判断せず、施設や指導者が示す暑さへの対応、休憩や中止の案内に従ってください。スポーツ庁の熱中症対策
サークル練習にも飲める休憩を入れる
ボトルが近くにあっても、次の出発に間に合わせることばかり考えていると飲みそびれます。メニューを書くときに、セット間など、補給できる休憩も入れておきます。
たとえば「アップの後でボトルに手を伸ばせる」「メインセットの途中で補給のために区切れる」と分かっていれば、飲むためにレーンの流れを急に止めずに済みます。チーム練習なら指導者と共有し、ボトルを置ける場所や容器は施設のルールに合わせます。
サークルは、壁に着いてからの休憩時間とは違います。後半に泳ぐタイムが落ちると、同じサークルでも休憩が短くなります。表記の読み方はサークルとレストの解説、練習の区切り方はセット練習のメニュー例で確認できます。
「この切れ目で必ず決まった量を飲み切る」というノルマにはしません。休憩は補給を忘れないための機会です。渇きや飲みやすさ、体調も確かめながら利用します。
飲み過ぎにも注意。体重は条件をそろえて測る
水分補給は、多ければ多いほどよいものではありません。NATAは、水だけでなくスポーツドリンクの過剰摂取でも、運動に伴う低ナトリウム血症につながり得るとしています。運動前に適切に水分が取れている人が、運動中に体重が増えるほど飲むことは勧めていません。NATAの指針
長い練習の日などに補給を振り返るなら、練習前後の体重は参考になります。ただ、水泳では濡れた水着や髪についた水も計測値に混ざります。同じ体重計を使い、体の水分を拭き、衣服などの条件をできるだけそろえて測ります。
体重の変化だけを、そのまま汗の量と考えることもできません。途中で飲んだ量やトイレに行ったことも関係するためです。「体重が何kg変わったか」に加えて、何をどのくらい飲んだか、休憩は取れたかを残しておくと、次回の補給を相談する材料になります。
測定値をぴったり合わせるために無理に飲まず、渇きや体調も合わせて見ます。自分に必要な量を詳しく知りたい場合は、スポーツ栄養に詳しい管理栄養士などへ、練習内容と記録を持って相談できます。
経口補水液は普段の練習用ドリンクとは異なる
経口補水液は、脱水症のための食事療法に使う病者用の飲み物です。消費者庁は、脱水状態でない人が普段の水分補給として飲むものではないと説明しています。製品によって適した用途が異なるため、パッケージを確かめ、医師や管理栄養士などの指導に沿って使用します。消費者庁の案内
「スポーツドリンクより強力そうだから」という理由で、毎回の練習に置き換えるものではありません。医師から水分・塩分・糖質などの摂取について指示がある人は、その指示を優先してください。
めまいや吐き気があるときは泳ぐのを中止する
体調が悪くなったときに、飲み物の種類だけで立て直そうとしないでください。泳ぐのをやめて近くの指導者や監視員に伝え、涼しい場所へ移動して体を冷やすなどの対応を取ります。
自分で水を飲めない、意識がはっきりしない場合は救急車を呼びます。救助を待つ間も体を冷やします。症状が改善しない場合は、その場で様子を見続けず、速やかに医療機関を受診してください。厚生労働省の応急処置案内、スポーツ庁の対処法
補給を考えるときは、ボトルの中身と一緒に「飲める休憩」「体調が悪いときに声をかける相手」まで用意しておくと、練習中に迷わず行動できます。
更新履歴:2026年9月5日、練習時間だけによる飲料の区分を見直し、飲み過ぎへの注意と経口補水液の用途を公的資料に沿って追記しました。


