
けのびとストリームラインの違い|足が沈むときの確認ポイント
壁を蹴って、手足を伸ばして進む。それだけのはずなのに、足が下がったり、すぐに止まったりする。「けのびをして」「ストリームラインを作って」と言われても、何を変えればよいのか迷うことがあります。
けのびは、壁やプールの底を蹴った勢いで滑る練習。ストリームラインは、水の抵抗を抑えるための姿勢です。 けのびの中でストリームラインを確かめる、と分けると練習の目的がはっきりします。
足が沈むときは、まず「蹴った直後から沈むのか」「進む勢いが弱まってから沈むのか」を見てみましょう。ここを分けると、蹴る方向を見直すのか、頭や腕の位置を確かめるのかを選びやすくなります。
浮いたあとに立つ動作や、水に顔をつけることが不安なら、先に大人の水泳初心者が25mを目指す練習順で、今の段階を確認してください。けのびに入る前の準備から整理しています。
けのびとストリームラインは、動きと姿勢の違い
| 言葉 | 指すもの |
|---|---|
| けのび | 蹴って滑る動き |
| ストリーム ライン | 抵抗を抑える姿勢 |
指導の場では、けのびの姿勢をストリームラインと呼ぶこともあります。言葉を厳密に使い分けることより、今は「押し出す動作」を直しているのか、「滑っている間の姿勢」を直しているのかが分かれば十分です。
Swim Englandの初級段階の到達項目も、壁から押し出して滑る動作と、その間ストリームラインを保つことを組み合わせています。公式の到達項目
足が沈むときは、沈み始めるタイミングを見る
蹴った直後に体が折れる場合と、ゆっくりになってから脚が下がる場合では、確認する点が違います。次の確認項目は、原因を断定するものではありません。泳ぎを見直す順番を決める目安にしてください。
- 蹴った直後に顔が上がり、脚が下がる。 前を見ようとして首を反らしていないか確認します。次の1回は、頭を腕の間に収め、目線を下へ向けてみます。
- 体全体が斜め下へ進む。 壁を蹴る向きと手先の向きを確かめます。強く蹴る前に、進みたい方向へ体を向け直してみましょう。
- 腕を伸ばすと腰が大きく反る。 肩の動きを腰で補っていないか見ます。腕を無理に絞り込まず、腰を反らさずに取れる形を探します。
- 最初は進めるが、遅くなると脚が下がる。 距離を伸ばそうとして姿勢を変えていないかを見ます。沈むまで粘らず、同じ短い区間で比べてみてください。
けのびでは、壁を離れた後に手足で水をかかなければ、抵抗によって速度が落ちます。いつまでも同じ速さで進み続ける練習ではありません。
また、体に働く重さと浮力の位置関係は姿勢の保ち方に関わります。男子大学スイマー17人の研究では、ストリームラインを作る際の腹部の形状変化を調べ、一部の選手では重心移動も測定しています。けのび成績の違う群を比較した研究です。足が沈むという一点だけで「腹筋が弱い」「力を抜きすぎ」と決めないことに意味があります。この研究は、初心者への特定のドリルの効果を確かめたものではありません。研究本文
けのびでは保てるのに、クロールを始めると脚が下がる場合は、クロールで脚が沈むときの確認点も見てください。呼吸する瞬間に崩れるなら、息継ぎで沈む原因のほうが、次の練習を選びやすくなります。
最初に整えるのは、頭・腕・腰のつながり
基本形は、両手を前で重ねて腕を伸ばし、頭を腕の間に収める形です。Swim Englandの公開指導項目でも、腕を伸ばして耳を覆うことが示されています。肩や首が痛むほど腕を絞り込む必要はありません。公式の指導項目
特に確認しやすいのは頭の位置です。前方を見ようとして顔を持ち上げると、進むときの抵抗が増えることがあります。男性の競泳経験者10人を水中で牽引した実験では、頭を上げた条件よりも、中立または下げた条件のほうが受動抵抗は小さくなりました。水深や速度を決めた実験なので、初心者全員に同じ角度を勧める根拠ではありません。原著抄録
練習では、顎を強く胸へ押し付けるよりも、首を反らさずに頭を腕の間に置けているかを確かめてみましょう。腕を伸ばすために胸を張りすぎ、腰が大きく反っていないかも一緒に見ます。
「胸を何cm沈める」「足を頭より高くする」と、全員に同じ形を当てはめる必要はありません。まずは意図した方向へ進めることと、姿勢を作るときに無理がないことを優先します。
次の練習では、短いけのびで1つずつ比べる
距離を競う代わりに、毎回同じ条件で試すと違いを見つけやすくなります。以下は姿勢を比較するための編集部の練習例です。効果が保証された回数や距離の処方ではありません。
- 安全に立った姿勢へ戻れる場所を選ぶ。 指導者などに見てもらえる環境で、前方の人や壁との距離を確認します。立つ動作が不安なら、先に指導者と練習してください。
- 蹴る前に姿勢を作る。 両手を前へ伸ばし、頭を腕の間に収めます。まずは強く蹴らず、意図した方向へ短く滑ります。
- 変えるのは1か所だけ。 最初は頭の位置、次は蹴る向きというように、同時にいくつも直さず比べます。呼吸が必要になったら切り上げて浮上し、落ち着いて呼吸を整えます。
- 距離以外の変化を記録する。 「顔を上げずに滑れた」「深く潜りすぎなかった」「腰を反らさず腕を伸ばせた」のどれか一つを残します。
施設が撮影を認めていれば、周囲の人が映らない形で横から短く撮ると、蹴った直後と速度が落ちた後を見分けやすくなります。撮影できなくても、見ている人に「どのタイミングで脚が下がったか」だけ聞く方法で構いません。
息止め時間や潜水距離の競争にはしないでください。潜る前に深呼吸を繰り返して息止めを延ばす方法も避けます。USA Swimmingの安全資料でも、長時間の息止めや過呼吸、最長距離・時間を競う練習を問題として扱っています。安全資料
何m進めればよい? 距離より先に見ること
けのびの距離は、蹴る強さや体格、姿勢、水深などで変わります。「何mできれば正しい」と一律に判定せず、まずは同じ場所・同じくらいの押し出し方で、姿勢が崩れにくくなったかを見ます。教室に到達目標がある場合は、その練習条件と合わせて指導者に確認しましょう。
短いけのびで頭や腕の位置を保てるようになったら、いつまでも伸び続けようとせず、無理なく呼吸できる普段の泳ぎにつなげます。そこで脚が下がるなら、次に見るのはキックや呼吸の動作です。
今日の練習では「頭を腕の間に収めて滑れたか」だけでも構いません。一つ確かめてから次へ進むほうが、何を変えたら泳ぎやすくなったのかを残せます。


