400m自由形で、前半を抑えたつもりなのに最後まで上げられなかった。次は速く入ろうとしたら、今度は300mで大きく落ちた。配分を変えたいときは、「抑える」「上げる」という感覚を、実際のラップと結びつけたいところです。

100mごとのタイムを並べ、最初の100m、中間の200m、最後の100mを分けて読みます。 ここでは、すでに400mを泳げる人が、自分の記録をもとに次のレース配分を検討する方法を扱います。

最初の100mは、スタートを含むタイムとして読む

飛び込みで始まるレースの最初の100mには、台からのスタートと入水後の区間が含まれます。次の100mはターンを経て始まるため、両者のタイムが違っても、腕で泳ぐ部分のペースだけが変わったとは限りません。

最初の100mが速いという理由だけで「飛ばしすぎ」と判断せず、2本目から3本目へどれくらい変わったか、最後の100mで戻せたかも見ます。50mごとのタイムがあれば、最後の100mの中で上げたのが前半か後半かも確かめられます。

記録表がスタートからの累積タイムなら、比較の前に各区間の時間へ直します。引き算の方法はラップタイムの読み方で確認できます。ここでは区間タイムを使い、通過タイムをそのまま足さないようにします。

短水路と長水路ではターンの回数も異なります。配分を比較するレースは、水路の違いを記録に残したうえで選びます。

同じ5分20秒でも、前半と後半の配分は変わる

次の表は、配分を読むための架空の400m記録です。実在する選手の記録や、5分20秒を出すための推奨ラップではありません。

区間レースAレースB
0〜100m1分16秒1分18秒
100〜200m1分20秒1分21秒
200〜300m1分22秒1分22秒
300〜400m1分22秒1分19秒
合計5分20秒5分20秒

Aの前半200mは2分36秒、後半は2分44秒で、差は8秒です。Bは前半2分39秒、後半2分41秒で、差は2秒。Bの最後の100mは、その前の100mより3秒速くなっています。

ただし、合計タイムは同じです。この表だけでBの泳ぎが優れているとは判断できません。Aには、最初の100mを少し変えたときに終盤がどう変わるか、という検討の余地があります。Bなら、最後に上げられた感覚を残しつつ、中間の200mを変えられるかが相談の材料になります。どちらも、次に確かめる仮説です。

「ネガティブスプリット」は、後半が前半より速い配分を指します。最後の100mを上げたBも、後半200mは前半より遅いため、200mずつで見ればネガティブスプリットではありません。どの距離を前半・後半として比べたかも添えます。

400mはイーブンペースが正解なのか

同じ距離をほぼ同じタイムで進むイーブンペースは、比較の基準になります。ただし、先ほどのスタートの違いもあり、すべての100mを秒まで同じにすることと、泳いでいる部分の速度をそろえることは同じではありません。

Maugerらの研究は、国内・国際大会のエリート選手による400m自由形264泳を分析しました。速く入り、その後をおおむねそろえる配分と、速く入って中盤で落とし、終盤に再び上げる配分が多く見られました。ただし、それらの配分がほかより良い成績になるという差は、統計的に有意ではありませんでした。

これは大会で使われた配分を調べた観察研究です。同じ選手に配分を変えさせて、全員の最適な入りを決めた実験ではありません。エリートで多かった型を、そのまま自分の正解にすることはできません。

自分の目標を立てる際も、目標タイムを4で割るだけでは、どこで速度を出すのかが残ります。5分20秒なら平均は100mあたり1分20秒ですが、全区間を1分20秒にする指示とは分けます。前回の最初の100m、中盤の落ち幅、最後に実際に出たタイムを、目標を検討する材料にします。

「最後は上げたつもり」を、時計と動作で確かめる

終盤は頑張りを増した感覚があっても、タイムが速くなっているとは限りません。USMSの中距離向け練習解説も、ネガティブスプリットは本人の努力感ではなく、実際の後半タイムで確認すると説明しています。

ラスト100mを上げたつもりだったなら、前の100mと比較し、可能なら50mずつも確認します。そのうえで「腕の回転を上げた」「ターン後の浮き上がりが早くなった」など、覚えている動作を別欄に残します。タイムは実測、動作の感覚は本人の記憶として区別します。

映像がある場合も、ピッチが増えたことだけを速度の上昇とみなさないようにします。ピッチとストローク長の関係を踏まえ、同じ位置の区間タイムと照合します。ラップだけでは、落ちた原因が体力、泳ぎ、ターンのどれにあるかまでは決められません。

分割した練習の合計を、400mの予想タイムにしない

100mを4回泳ぐ練習は、設定したペースを繰り返せるかを確かめる場になります。ただし、間に休憩を入れた4本のタイムを足しても、連続して泳ぐ400mと同じ条件にはなりません。休憩時間や出発方法も記録に残します。

USMSの解説には、練習内でレース距離を泳いでラップを取り、本人の感覚と実際の配分を振り返る方法も示されています。分割練習で確認したペースを連続泳でも使えるかは、指導者と練習計画に組み込んで確かめる内容です。

前回のAのように中盤から落ちた場合なら、「最初の100mを変えたら、その後の100mはどうなったか」を比較します。最初が遅くなった分だけ合計も遅くなったのか、それ以上に後半が戻ったのか。最後を上げられたという感覚だけで結論を出さず、4区間と合計を残します。

本数や休憩は、今できる練習と施設の利用状況に合わせます。セット練習の組み方を使い、配分を確認する日と、ほかの技術を練習する日を無理なく組み合わせてください。

参考資料