泳ぎ切れたのに、最後のタッチで失格にならないだろうか。初めて平泳ぎやバタフライで大会に出るときは、速さより先に壁への触れ方を確かめておきたいところです。

平泳ぎとバタフライは、両手を離した状態で同時にタッチ。背泳ぎは、あおむけの姿勢でタッチします。自由形をクロールで泳いでいるときと同じ感覚で、どの種目も片手で終えてよいわけではありません。

以下は、日本マスターズ水泳協会の競泳競技規則2026.06版をもとにした国内マスターズ向けの説明です。出場大会が採用する規則と最新案内も確認してください。日本マスターズ水泳協会・競技規則

平泳ぎとバタフライは、離した両手で同時に壁に触れる

二つの泳法に共通するのは、「両手で触る」だけではなく、左右の手を離したまま、同じタイミングで触るという条件です。片手が先に壁へ着き、後からもう片方を足しても、同時のタッチにはなりません。手を重ねて伸ばす形も避けます。

タッチの位置は水面の上でも下でもよく、水中で触れたという理由だけで違反になるわけではありません。ただし、壁へ着くまでの泳ぎにも、それぞれの泳法の規則が適用されます。タッチだけ両手なら、直前をどのように泳いでもよいという意味ではありません。競泳競技規則・第7条6項、第8条5項

平泳ぎとバタフライで、左右の手を離したまま同時に壁へ触れる様子を上から示した図

両手と壁の関係を示した模式図です。腕の動作や水面、全身の姿勢は省略しています。平泳ぎ・バタフライのゴールと折り返しで必要なタッチを示し、泳ぎ全体の適否を判定する図ではありません。

練習では、壁に届いた瞬間に左右どちらかの手だけを止めていないか、手が重なっていないかをコーチや仲間に見てもらいます。最後の一かきの調整まで自己流で変える前に、いつもの泳ぎで両手がどう着いているかを確かめるほうが、修正する場所を絞れます。

平泳ぎやバタフライで折り返すときは、両手タッチの後の動きも練習します。オープンターンの手順では、壁への接触から足を着け、蹴り出すまでを分けて確認できます。

背泳ぎは、壁を見ようとしてうつぶせにならない

背泳ぎのゴールは、あおむけの姿勢で壁に触れる必要があります。折り返しでは体を回してターンへ入る動作が認められますが、ゴールの直前に同じようにうつぶせへ回ってよいわけではありません。競泳競技規則・第6条

壁が見えない不安から最後に体をひっくり返しているなら、タッチだけを直す前に、目印から壁までの距離感を練習で確認しておきます。泳ぐ速さやストロークの大きさが変われば、いつもの回数で同じ位置に着くとは限りません。決まった回数を全員に当てはめず、泳ぎを見てもらいながら確かめてください。

途中から左右に寄ってしまう人は、背泳ぎでまっすぐ進めない原因も合わせて見直すと、壁際だけの問題なのかを考えやすくなります。

自由形は体の一部が壁に触れればよい

自由形のゴールでは体の一部を壁に触れさせることが必要で、平泳ぎやバタフライのような両手同時タッチの指定はありません。クロールで泳ぐなら、片手のタッチで終えられます。競泳競技規則・第5条2項

壁を強くたたくこと自体を目標にする必要はありません。練習から壁まで泳ぎ、手が着く前に立ったり、手前で泳ぎを終えたりしていないかを確認します。タイムを計る人とも、壁に触れたところまで計ることを合わせておきましょう。

ゴール直前の水没条件は、2026年6月に自由形とバタフライが改定

国内マスターズでは2026年6月22日から、自由形とバタフライのゴール直前の水没に関する新規則が適用されました。協会の改定通知は、頭の一部が5mのマークを過ぎた後、ゴールタッチ時に全身が水没してもよいと案内しています。2026年4月6日付の改定通知

背泳ぎにも、頭の一部が5mを過ぎた後のゴールタッチ時に全身が水没してよいという規定があります。ただし、あおむけで触れる条件はそのままです。バタフライも、両手を離して同時に触れる条件がなくなったわけではありません。

「残り5mなら好きな泳ぎ方で潜って進める」と覚えると、ゴールタッチの例外と通常泳の規則が混ざります。バタフライの条文は、ゴールタッチで壁に手を伸ばす局面を示しています。5mの線を起点に、潜水距離を伸ばす練習を勧める規定ではありません。

また、平泳ぎをこの5mの説明に含めないでください。平泳ぎでは、最後のサイクル中に頭が水面上へ出ていれば、タッチ前の最後の一かき後に頭が水没してよいと定められています。泳法ごとに見る条件が違います。競泳競技規則・第5〜8条

メドレーで泳法が変わる壁にも、ゴールの規則を使う

個人メドレーでは、全体のゴールだけでなく、各泳法の区間の終わりもその泳法の規則に従って終えます。背泳ぎから平泳ぎへ移る壁なら、背泳ぎの区間をあおむけのタッチで終えることが必要です。競泳競技規則・第9条4項

同じ背泳ぎを続ける途中のターンと、背泳ぎの区間が終わる壁を混同しないようにします。壁から早く離れようとして、タッチ前の条件が抜けていないかを確認してください。通常のターンの動作を分析するときは、ターンの壁接触時間のように、どの局面を見ているのかも区切っておくと振り返りやすくなります。

大会前に確認したいのは、「片手か両手か」「どの姿勢で触れるか」「直前の泳ぎも規則に合うか」です。動画で確認するなら、壁と両手が隠れない場所から、撮影が許される範囲で記録します。レース動画の撮り方も参考になりますが、自己撮影の動画が大会の判定資料として採用されるとは限りません。規則上の疑問は、練習中にコーチへ相談し、当日は大会の指定窓口で確認してください。

参考資料

いずれも2026年9月8日確認。