初めての大会では、笛が鳴るたびに「今、台に上がるのか」「もう構えるのか」と戸惑うことがあります。周囲の選手を見て一拍ずつ遅れるより、合図と自分の動作を対応させて覚えておくと落ち着いて準備できます。

基本の順番は、短い笛で準備し、長い笛でスタート位置へ移り、号令で構えて静止し、出発の合図で動き始めることです。背泳ぎでは、長い笛が2回あります。

この記事は、日本マスターズ水泳協会の競泳競技規則2026.06版と、競技役員の手引2026.04版に基づく国内マスターズ向けの説明です。出場大会の案内と競技役員の指示も確認してください。飛び込みの技術や、招集までの準備は別に扱います。

短い笛は準備、長い笛はスタート位置へ移る合図

まず自由形・平泳ぎ・バタフライ・個人メドレーの流れを見ます。連続する短いホイッスルは、競技開始に向けて準備を促す合図です。この段階で、台から飛び出すわけではありません。

その後の長いホイッスルで、自分が選んだスタート位置へ移ります。スタート台から出る人は台へ、プールデッキから出る人は前縁へ。水中から出る人は速やかに水へ入り、スタートの姿勢を取れる位置につきます。競泳競技規則・第2条1項、第4条

聞こえる合図選手がすること
短い笛が続くスタートに向けて準備する
長い笛台・デッキ・水中のスタート位置につく
Take your marksスタートの構えを取り、静止する
出発の合図スタートする

招集で組とレーンを確かめることは、この手順より前に済ませます。短い笛が鳴ってから自分のレーンを探すことにならないよう、大会プログラムの組・レーンの読み方も確認しておきましょう。

短い笛、長い笛、Take your marks、出発の合図と、背泳ぎで長い笛が2回あることを示す図

国内マスターズの合図と行動を対応させた図です。人物のアイコンは静止の意味を示し、実際のスタート姿勢を指定していません。背泳ぎは、長い笛の手順を下段の2回に読み替えます。

「Take your marks」で構え、出発の音を待つ

「Take your marks」は、出発の号令そのものではありません。聞こえたら速やかにスタートの姿勢を取り、静止します。出発の合図が出てから動き始めます。

台やデッキから出る場合は、少なくとも片方の足の指を前縁にかけます。構えの手の位置には規則上の制限はありませんが、大会当日に初めての姿勢を試すのではなく、事前に教わった姿勢を使ってください。

「構えてから何秒で鳴る」と数えるのは避けます。競技役員の手引は、選手の静止を見て合図することと、その間隔が選手の状況に左右されることを説明しています。前の組と同じ秒数を予測して体を動かす必要はありません。競技役員の手引・出発合図員

構えるのが遅ければ必ず待ってもらえる、と考えることもできません。合図を聞いてから素早く姿勢を作り、待つところまでを練習しておきます。スタート直後の速さを評価したい場合は、その次の段階として15mまでのスタート分析へ進めます。

背泳ぎは、1回目の長い笛で入水し、2回目で位置につく

背泳ぎとメドレーリレーの第1泳者は、水中からスタートします。長いホイッスルが1回だけの種目と混同しないようにします。

  1. 短い笛が続いたら、準備する。
  2. 1回目の長い笛で、水に入る。
  3. 2回目の長い笛で、スタート位置につく。
  4. 「Take your marks」で構え、静止して出発の合図を待つ。

背泳ぎでは、両手でスターティンググリップを持ちます。足や足の指を排水溝、プールの縁、タッチ板の上端に掛けることはできません。背泳ぎ用のスタート補助装置を使う場合にも足の接触条件があるため、使い方を練習で確かめ、大会の設備と運用を確認します。競泳競技規則・第4条2項、第6条1項

周囲の人がグリップを握るのを見て初めて動くより、「1回目は入水、2回目は位置」と自分の中で分けておくと、号令前の準備を整理できます。

国内マスターズでは、水中から出る方法も選べる

自由形・平泳ぎ・バタフライ・個人メドレーでは、スタート台、プールデッキ、水中からのスタートが認められています。これはここで参照した国内マスターズの規則です。ほかの大会区分へそのまま当てはめないでください。

水中スタートの場合は、少なくとも片方の手でスターティンググリップを持ち、両足を壁につけます。長い笛で水に入り、号令に応じて構えます。壁を蹴って泳ぎ始めるのは、出発の合図の後です。

飛び込みの経験がないなら、大会当日に周囲へ合わせて台へ上がる必要はありません。大会案内を読み、招集時などに競技役員へ水中スタートの方法を確認してください。台からの出発を練習する場合は、飛び込みが許可され、指導者がいる環境で教わります。

初参加でほかにも準備が気になる場合は、初めての水泳大会の持ち物と当日の流れを使い、合図の練習と会場の準備を分けて進められます。

合図より先に動いた場合は、競技役員が判断する

出発の合図より先にスタートの動作を起こすと、失格の対象になります。「隣の人が動いたから、自分も出てよい」という扱いではありません。

規則では、出発の合図を出す前に違反が明らかになった場合と、すでに合図が出た場合で手順が異なります。前者では合図を出さず、該当選手を失格とし、ほかの選手を戻して再出発の手順を取ります。後者では競技を続け、レース終了後に失格を通知する扱いです。

そのため、自分には誰かが早く動いたように見えても、競技が必ず途中で止まるとは限りません。泳いでいる最中に自己判断で中断せず、競技役員の指示に従います。映像で手や足が少し動いたことだけを見て、失格かどうかを自分で決めることもできません。

事前の練習では、速い反応を競う前に、号令で構えて静止し、出発の合図を聞いて動く順番を確かめます。笛や出発音を勝手に鳴らすと周囲の練習に影響するため、指導者と実施場所・方法を相談してください。

複数の種目に出る日は、マスターズ大会の時間割の作り方に、自分の種目のスタート手順を一言添えておく方法もあります。「背泳ぎは長い笛2回」のように、間違えやすい点を絞れば、レース前に読み返しやすくなります。

規則と手引は2026年9月9日に確認。合図や違反の最終判断は競技役員が行います。